東京といえば観光客であふれる大都会のイメージ。しかし、そんな喧騒から離れた静謐な空間もひっそりと存在しているのをご存じでしょうか?
それが「駒場公園・旧前田家本邸」。まるで時が止まったかのような静かな空間で、歴史と自然に包まれながら健康的な時間を過ごす旅を、近隣スポットとして同じく自然豊かな東京大学のキャンパスを含めた日帰りコースと共にご紹介します。

こんな人におすすめ
・都心で静かに自然と歴史を楽しみたい人
・混雑を避けて落ち着いた小旅行をしたい人
・ちょっとした非日常に触れたい人
メインスポット:駒場公園・旧前田家本邸の基本情報
そもそもどんなところ?
貴族の邸宅がそのまま残る、東京ドームほぼ一つ分と広めの都立公園
駒場公園・旧前田家本邸の魅力
歴史と建築美の融合
今は都立公園として東京都所有となっている邸宅と公園がこのスポットのメインです。その元々の持ち主は、旧加賀藩前田家第16代当主・前田利為侯爵。歴史好きには名の知られた「加賀百万石」の当主です。上の写真は、そんな日本でも指折りの貴族だった前田家が駒場に引っ越してきた際に建てられた邸宅。それが今に至るまで残っており、館内を含めて無料で公開されているのです。
この邸宅には、単なる私邸を超えた“外交拠点”としての側面もあります。かつての主である前田侯爵はヨーロッパから帰ってきた後、「日本にも、外国の賓客を迎えられる邸宅が必要だ」と考えました。当時の日本には日本の伝統を伝える館も、西洋の最先端に追いつく邸宅も不足していると考えたのです。
そこで、日本の誇りをかけてヨーロッパの最新様式を取り入れた重厚な洋館と、伝統的な和のおもてなし空間である和館の両方を建設しました。
そんな洋館と和館は、今では東京都に譲渡され、重要文化財として公開されています。前田家が建てた邸宅であり、日本をアピールする意味合いもあった迎賓館としての機能も備えた場所ということもあり、その内装は非常に豪奢。今でも綺麗に残る屋敷の様子は、非日常感に溢れたものになっています。

まるで映画のワンシーンかのような内装は一見の価値あり。
また、日本の伝統美を感じさせる和館も、落ち着きのある空間として魅力的です。木々の香り、静かにたたずむ日本庭園――国外からの来賓を受け入れるべく作られた空間。ここでは「和」の時間が丁寧に流れていきます。

周囲には豊かな木々が立ち並び、都内とは思えない落ち着いた空気が流れます。散策するだけでも心が整い、自然と歩を進めたくなる空間です。

自然に包まれた散策空間
東京ドームに匹敵する敷地面積を持つ公園には豊かな雑木林と整えられた庭園が広がっており、四季折々の植物が楽しめます。春は新緑と桜、夏は深緑に包まれ、秋には紅葉と静かな余韻が訪れます。
混雑のない開けた公園
自然・建築が魅力的な駒場公園ですが、周囲に渋谷や代々木といった名だたるスポットがあることもあってか混雑とは無縁となっています。
平日・休日問わず行列や待ち時間に悩まされることはないため、気軽に訪れることができます。
併設する日本近代文学館
旧前田家本邸の隣に佇む日本近代文学館は、「明治以降の日本近代文学を総合的に保存・展示する場」として市民に親しまれています。展示エリアはコンパクトながらも、文豪ゆかりの品々をバランスよく配置しているため、初めて訪れる方でも見どころが分かりやすく構成されています。
館内1階には「BUNDAN COFFEE & BEER」というブックカフェが併設され、約2,000冊の書籍が並ぶ落ち着いた空間で、文豪の名を冠するコーヒーや紅茶・自由に読める書籍と共に休憩が可能になっています。

総じて、非常に落ち着いた時間の中で優雅な時間を楽しむことができるエリアとしておススメです。
一緒に訪れたいサブスポット:東京大学駒場キャンパス
自然・文化共に魅力あふれる駒場公園ですが、せっかく出かけるのならば近隣の散策もしてみたくなるもの。特に、駒場東大前駅を訪れるとなれば駅名にもなっている「東京大学駒場キャンパス」は一度訪れる価値のあるスポットになっています。
そもそもどんなところ?
東京大学のメインキャンパスの一つ。赤門などで知られる本郷キャンパスとは別。
東京大学駒場キャンパスの魅力
実は予約なしでふらっと入れる
東京大学に行ってみる、となると予約などが必須のように見えますが、実はそのまま入って中を散策することが可能で、秋口などは銀杏並木目当ての観光客の姿も珍しくなくなります。
土曜日でも昼ならばショップも開いており、ちょっとしたグッズをお土産に買うことが出来ます。
自然豊かで、銀杏並木が有名
駒場キャンパスは非常に自然豊かなことでも知られており、広大なキャンパスを歩くだけでヒーリング効果が期待できます。

駒場公園と合わせて行くことで、旅の思い出をより重層的にしてくれるでしょう、
近隣の食事処・レストラン
魅力的な駒場公園エリアですが、内部では上記の「BUNDAN COFFEE & BEER」を除いて飲食物の提供は行われておりません。特に、ディナーについては別の飲食店への移動が必要になります。
駒場は渋谷にも近く、ランチ・ディナー共にお好みのものから選べます。また東京大学の中には一般の方向けの変わった飲食店もありますので、ここでは(個人的に)おススメする食事処をエリアごとに紹介します。
王道の渋谷方面でランチ・ディナー
駒場での観光を終えたら、電車or徒歩で渋谷駅方面に移動し食事を楽しむのも一つの楽しみです。日本でも屈指の繁華街で観光客向けの華やかなスポットを楽しむもよし、ちょっと大人な店でディナーを楽しむのもおススメです。
おススメのお店は、「神泉 遠藤利三郎商店」。元々ワインバルとして知られているお店ですが、どれを食べても美味しい料理にも定評があります。駒場東大前駅と渋谷駅の間である神泉駅の近くで、渋谷の喧騒から一歩離れたエリアでのディナーを楽しめます。
住所、地図と予約リンク入れる(サイト完成までリンク取得不可)
池尻大橋方面でウォーク&ディナー
駒場公園を含めて「もっと歩きたい!」という人は、池尻大橋方面への散歩コースがおススメです。徳川将軍家の御用屋敷跡を経て池尻大橋駅に至るルートを楽しみつつ、池尻大橋周辺のユニークな料理を楽しむことができます。
おススメの店は、「マツミサカバ」。お笑いトリオ「ロバート」の馬場裕之さんが提供するお店であり、話題性に事欠きません。提供されるタイ風和牛もつ鍋はここでしか味わえない逸品です。
駒場東大前駅からも徒歩圏ということもあり、おススメの一店となっています。
地図と予約リンク入れる(サイト完成までリンク取得不可)
駒場の街周辺で穴場のディナー
昔ながらの店が数多く残る駒場東大前周辺エリアでは、住宅街の中にひっそりと名店が佇んでいます。少し懐かしい雰囲気の街並みの中、落ち着いたレストランでディナーを楽しむことができます。
有名洋食店「ボラーチョ」でマッシュルームガーリックを楽しむ
おススメの店は、「ボラーチョ」。ドラマ「孤独のグルメ」で登場したことで一躍有名になった洋食のレストランです。ドラマのタイトルになった一品であり、定番であるマッシュルームガーリックは絶品です。
予約リンク入れる(サイト完成までリンク取得不可)
変わり種の東京大学構内「ルヴェ ソン ヴェール」でフレンチ
旅の思い出が欲しい人には、東京大学駒場キャンパス内にあるフレンチレストラン「ルヴェ ソン ヴェール」がおススメ。大学構内の旧制一高同窓会館を改装したシックな佇まいのレストランで、東京大学の中で本格的なフレンチを味わえるという非日常感は、訪れるだけで話のネタになります。東京大学の散策と合わせておススメです。
予約リンク入れる(アフィリエイトリンクがないかもしれない)
様々な選択肢がある駒場周辺のエリアですが、ランチでもディナーでも予約推奨。特に休日やディナータイムは満席になることが多く、事前予約をして確実に席を押さえるのが安心です。
実際に行ってみたレポート
ここからは筆者が駒場公園・旧前田家本邸に行ってみた際のレポートとなります。スポットだけではなく、道中も含めた気付きをレポートしていきます。
駒場東大前駅からちょっと歩く
駅の西口を出てから駒場公園入口まで住宅街の中を歩くことになります。公園自体が非常に広く、また入り口が限られているため見かけより入園に時間がかかるかもしれません。公園内を歩くことも含めて、歩きやすい靴がおススメです。
公園は過ごしやすく、思った以上に自然豊か
筆者が最近訪れたのは猛暑の7~8月のこと、かなりの猛暑でした。渋谷までの移動についてはひたすらに暑い…としか言えない気温だったのですが、駒場周辺は自然が多いエリアであること、公園内は木陰が多いこともあってか体感温度は低い方でした。

歩いていると「ここは本当に東京のど真ん中なのか?」と思うほどの豊かな自然と巡り合うことができます。
洋館・和館共に空調が効いている
館内についても明らかにエアコンなどない古い建築だろうと思っていたのですが、館内は各部屋しっかりと冷房が効いていました。これ見よがしに冷房がある、という訳ではなく文化財としての見栄えを意識して壁の装飾の内側に空調が配置されているようです。快適な温度の中で豪奢な建築を楽しむことができました。

探訪ツアーがある
旧前田家本邸についてはボランティアによるガイドツアーに参加することができます。開始時刻が決まっている形式で、所要時間は洋館 45~50分、和館 20~25分。気軽に参加できる長さとなっており、公式サイトから時間が確認できます。
公式サイト:https://www.syougai.metro.tokyo.lg.jp/sesaku/maedatei.html
ガイドツアーに無理に時間を合わせなくても、入口すぐに詳しい解説付きのパンフレットがあります。ふらっと行ってみても大丈夫です。
空いているけれど、カフェは少し混んでいることも
休日でも公園・洋館・和館どれも観光客はいるものの空いており、混雑しているという印象はありませんでした。ただ、日本近代文学館の一階に併設されている「BUNDAN COFFEE & BEER」は入館料なく入ることができるエリアであることもあり、近隣の方や学生の憩いの場ともなっていました。落ち着きのあるスペースではありますが、ランチタイムなどは混雑する可能性がありそうです。
閉館・閉園は早め
洋館や和館の閉館は16時となっており、公園自体も16:30には閉園となります。邸宅をのんびりと見ていたら思ったより時間が過ぎていた…ということもありますので、時間に余裕をもっての来訪がおススメです。

和館でのんびりしていたらすぐ時間が過ぎるなんてことも…
一日に十分な運動量
駒場東大前駅から東京大学駒場キャンパスをぐるりと散策し、ルヴェソンヴェール駒場を経て駒場公園全体を散策しました。約6000歩で5kmのウォーキング、2時間46分で524kcalの消費となりました。

(Garminのスマートウォッチで計測)
途中休憩は挟みつつも食事はなし、かつ行き慣れていてもこのくらいの時間を要しました。初めての方は駒場公園周辺でのトータルの滞在時間は食事なしでも3~4時間程度を見込むのが良さそうです。広すぎず、程よい運動量を自然と確保できるスポットとして、小旅行に最適です。
想定コース
駒場公園&駒場キャンパスを散策したい場合、日帰りの小旅行で十分に楽しめるようになっています。
▶駒場周辺 日帰りプラン(歩数目安:7000〜8000歩)






以下のような方については、渋谷周辺での一泊もおススメです。
・おすすめの方に関する文章が入ります。
・おすすめの方に関する文章が入ります。
▶渋谷や池尻大橋も 一泊プラン(歩数目安:12000歩〜)
上のプランに加えて渋谷や池尻大橋の観光もしたい方、また代官山方面まで足を延ばしたい方は宿泊もおすすめ。駒場東大前からのアクセスに優れた渋谷駅にはホテルがたくさんあるため、そちらの滞在がおススメです。
高価格帯ホテル:セルリアンタワー東急ホテル(渋谷)
手頃な価格帯:渋谷東急ステイホテル
アクセス
東急井の頭線「駒場東大前」駅から徒歩約5分。渋谷から一駅という好アクセスです。駅から目的地までは坂も少なく、道も平坦で歩きやすいため、シニア層にもおすすめです。
(地図埋め込み)
おわりに
「東京で静かに過ごせる場所なんてない」と思っている方にこそ訪れてほしい場所。それが駒場公園・旧前田家本邸です。
自然、文化、歴史、そして静けさ。それらすべてが揃ったこの場所は、日常に疲れた身体と心を優しく整えてくれる都市のオアシスです。
旅の一歩は、健康への一歩。
都会の真ん中で静かに過ごしてみませんか?